
パーソナリティー・植田洋子が、楽しいトークと素敵な音楽をお届けします。
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【放送】第1水曜日15時~16時/21時、翌日曜日17時
さて、今日は4月の初めに訪れた、長野県上田市にある「戦没画学生慰霊美術館」、通称「無言館(むごんかん)」での記憶を紐解いていきたいと思います。
千曲川が流れる歴史の街の、少し小高い雑木林の中にひっそりと建つ地味なコンクリートの建物。ここは、第二次世界大戦で志半ばで戦地に駆り出され、命を落とした若き画学生たちの遺作や遺品、およそ300点を展示する美術館です。戦時中、東京美術学校(現・東京藝術大学)などの美術学校に在籍し、ただひたむきに絵を描きたいという情熱を持ちながらも、戦争によって青春を奪われた若者たちの遺品が並んでいます。
この美術館は1997年、館主の窪島誠一郎さんによって設立されました。約1億円の建設資金の半分近くは全国からの寄付金で賄われ、残りは久保島さんが融資を受けて調達しました。上田市が市有地を格安で貸与し、多くの人が手弁当で絵の修復や運搬を手伝ってくれたことから、窪島さんはここを「匿名立の美術館」と呼んでいます。
「無言館」という名前には、2つの意味が込められています。
一つは、「展示された絵画は、何も語らず無言ではあるが、見る側に多くを語りかける」こと。
もう一つは、「訪れた人々も、絵を前にして無言になってしまう」ということです。
私も一つひとつの作品をゆっくり回りながら、本当に作品の中に吸い込まれるような感覚になりました。生きたかった、描きたかったという彼らの声なき声が立ち上ってくるようで、ただ無言で佇むことしかできませんでした。
この場所には、生前の樹木希林さんも引き寄せられ、窪島さんと深い親交がありました。毎年4月29日には、地元の新成人たちが同世代で亡くなった画学生の絵の前で決意を新たにする「成人式」が行われていますが、樹木さんもゲストとして参加されていました。現在は、お嬢さんの内田也哉子さんがその遺志を継ぎ、共同館長を務められています。
戦後50年以上が経ってから全国の遺族へ絵を探す問い合わせをしたため、最初は「うさんくさい」と疑われることも多かったそうです。しかし、届いた返信の中には、「戦死した兄の絵はかけがえのない宝物でした。どうか一日も早く見に来てください」と涙を流して喜ぶ妹さんからのお手紙など、温かい賛同が溢れていました。
出口の感想文ノートには、復員した79歳の男性の「尊い犠牲のもとに戦後の余生を貪る幸福を味わっている。ただただ頭を垂れるばかりです」という言葉や、「戦争のことは決して忘れてはいけない」という切実な思いが綴られていました。
記憶の風化が叫ばれる現代だからこそ、この場所が放つメッセージは心に深く突き刺さります。皆さまも機会がありましたら、ぜひ一度、足を運んでみてください。
戦没画学生慰霊美術館 無言館
〒386-1213 長野県上田市古安曽字山王山3462
TEL: 0268-37-1650


