第5水曜日のデイライトタッキーでお送りするコーナー「今村翔吾の翔語録」。
直木賞作家で箕面本屋大使の今村翔吾さんに、ご自身の著書から珠玉の言葉たちを選んでいただき、
その言葉の背景や込められた思いなどをお話しいただく時間です。
今回、今村さんはご自身の書斎から、リモートでご出演くださいました。
作家さんの書斎を拝見する機会は滅多にありません。
素敵ですね!

今回選ばれた言葉は
「生きる気はあるか」
『イクサガミ 天』(講談社) P.45 L.10より
『イクサガミ』は明治初期の日本が舞台のバトルロワイヤル作品で『イクサガミ 天』『イクサガミ 地』
『イクサガミ 人』『イクサガミ 神』の4冊で完結しています。
「武士の時代が終わりを迎えた明治11年(1878年)の日本。
「武技に優れたる者に金十万円を得る機会を与う」という謎の新聞記事に惹かれた者たちが、
京都の天龍寺に集まるところから物語は始まります。
集まったのは約300人。皆、それぞれの事情で大金を欲していました。
その場で発表されたのは「蠱毒(こどく)」と呼ばれるデスゲーム。
互いに殺し合い、江戸へ向かうように指示されます。
莫大な賞金がかかっていることから、元から覚悟を決めてきていた武芸者たちの中で、12歳の香月双葉は場違いに見えました。
双葉は母の病気を治すために多額な金が必要で「蠱毒」に参加したのです。
どう見ても絶対に生き残れそうにない双葉に向かって、主人公の嵯愁二郎がかけた言葉が「生きる気はあるか」。
双葉の覚悟を確かめた上で、双葉を守っていこうと決める場面です。
「生きる気はあるか」は非常にシンプルな言葉ですが、そもそも「生きる」とはどういうことかを問うてもいます。
命が続いていることを生きるというのか、人生に何か意味を見出して進んでいることを生きるというのか。
この問いは、なぜ「蠱毒」という殺し合いを企画したのか、といったところにも繋がってきます。
また、小説から飛び出して、読んでいる人への問いかけにもなっています。
ちなみに『イクサガミ』はNetflixシリーズとして2025年11月13日よりNetflixで世界独占配信されます。
今回選ばれた言葉「生きる気はあるか」は、国籍人種を問わず、すべての人に当てはまる言葉で、
今村さんのメッセージは映像を通じて全世界の人に響くことでしょう。
ドラマ『イクサガミ』は岡田准一さんが主演、プロデューサー、アクションプランナーを務め、
吉岡里帆さん、二宮和也さん、東出昌大さん、染谷将太さん、早乙女太一さ、ん山田孝之さん、
玉木宏さん、伊藤英明さんなどの贅沢な顔ぶれが揃っています。(俳優名は順不同)
ちなみに千波留は、アイヌの弓の使い手 カムイコチャを染谷将太さんが、
登場人物の中で一番好きだったキャラクター 菊臣右京役を玉木宏さんが演じると知って、大喜びしております。
今村翔吾さんは原作者としてすでに映像をご覧になったそうで、ご自身の作品ながら、映像の凄さには驚いたそうです。
「『イクサガミ』出演者を伴って箕面でイベントができたらいいね」とも語っておられまして、実現が楽しみです。
原作を読まれた方も、これからの方もドラマ『イクサガミ』も ぜひご覧になってくださいね。
今回で2025年度の「今村翔吾の翔語録」は終わりました。
来年度も「今村翔吾の翔語録」は続く予定です。
お楽しみに。
<リスナーさんからのご質問>
【Q】2025年7月に発表された芥川賞、直木賞とも「該当作なし」について、今村翔吾さんは作家として、
また受賞者としてどう思われますか?
【A】両方が同時だったのは珍しいかもしれませんが、それぞれの賞について、
該当者なしであることはこれまでもありました。僕は無理をして選ばなくてもいいと思っています。
作品のレベルといったことではなく、芥川賞、直木賞の基準から外れていた、ということではないかと。
両賞がないと、書店の売り上げに響くというご意見もあるけれど、きのしたブックセンターのような
個々の本屋さんへの影響はそれほどでもないんですよ、とのことでした。
ご質問ありがとうございました。
<余談>
文学賞といえば、今年、今村翔吾さんが立ち上げられた「日本ドラフト文学賞」の第1回ドラフト会議が
2025年10月5日に佐賀県で開催されました。
今村翔吾さんの作家デビューのきっかけとなった『九州さが大衆文学賞』が2017年に幕を閉じたことを惜しみ、
佐賀の地に賞を復活させたいと取り組んでこられたのが「日本ドラフト文学賞」です。
出版社が出版したい作品に手をあげるというドラフト形式の文学賞で、昭和の時代に数多くのスター歌手を生み出した
「スター誕生」の文学版と言えます。
第1回目は820作品の応募の中から6作品がスカウトを受けました。
この文学賞の今後にもご注目ください。
【放送日時】
10月29日(水)11:00から約10分(再放送:同日20:10頃から)
(文責:千波留)


